【26-27】スノボウェアの上半身おすすめ3選|初心者のジャケット選び方

スノボウェアの上(ジャケット)って、正直どれも同じに見えます…。デザインで選んじゃダメですか?

デザインは最後でOK。最初に見るのは「耐水圧10,000mm・透湿性5,000g」の2つの数字だけです。ここさえ押さえれば、初日に凍える失敗はほぼ防げます。
◎ スノボウェアの上は「耐水圧10,000mm以上・透湿性5,000g以上」を満たすジャケットなら初心者は失敗しません。
◎ 最初の1着の本命は耐水圧10,000mm確定のBURTON Covert 2.0。予算優先なら1万円を切るPONTAPES POJ-383です。
◎ 暖かさを決めるのはジャケットより下の1枚。綿をやめるだけで寒さの感じ方がはっきり変わります。
スノボウェアの上(ジャケット)は何を基準に選べばいいのか——これ、初心者の方からいちばん多く聞かれる質問です。
売り場のジャケットは、見た目だけならどれも同じに見えます。値段は1万円台から8万円までバラバラなのに、違いは店員さんに聞かないとわからない。
スノーボード歴は25年、岐阜・滋賀・長野をホームに、白馬やかぐら、札幌へも足を運んできました。
その中で何度も見てきたのが、上半身をしくじって雪山を嫌いになる人です。
以前、初めて滑りに来る友人に古いジャケットを貸したことがありました。袖口が締まらないタイプで、転ぶたびに雪が入る。
午後にはリフトの上で歯が鳴るほど震えていて、それ以来その友人が雪山に来ることはありません。
この記事では、スノボウェアの上(ジャケット)で失敗しないための選び方5つの軸を、優先順位の高い順に解説します。
あわせておすすめジャケット3選と、下に何を着るべきかもまとめました。
スノボウェアの上(ジャケット)の選び方 5つのポイント
先に結論:上半身は「ジャケット7割・下に着るもの3割」
細かい話に入る前に、全体像をお伝えします。
スノーボードの上半身は、外側から順にアウター(ジャケット)→ ミドルレイヤー(保温)→ ベースレイヤー(肌着)の3層で成り立っています。
このうち予算配分はジャケットに7割、下に着るものに3割が現実的なバランス。ジャケットは雪と風を防ぐ最前線なので、ここが弱いと下に何を着ても無駄になります。
ただし——ここは正直、長いあいだ勘違いしていた部分です。
「高いジャケットを買えば暖かい」と思っていたのですが、実際はむしろ逆でした。高機能なジャケットほど中綿が薄く、単体ではそれほど暖かくありません。
防水・透湿に振り切って、保温は下の層に任せる設計だからです。
つまり、ジャケットを1万円ケチって下のインナーを妥協するより、ジャケットの数値を満たしたうえで下に3,000円のインナーを足すほうが暖かい。この順番だけは間違えないでください。
ここからが本題です。上位の解説記事やメーカー資料を何本も見比べましたが、チェックすべきは結局この5つに集約されます。
迷ったら「耐水圧 → 透湿性 → サイズ → ディテール → 中綿の有無」の順に見ていけば大きく外しません。
1. 耐水圧(最優先):初心者は10,000mm以上を選ぶ
耐水圧とは、生地が「どれくらいの水圧まで水を通さないか」をmmで表した数値です。
これは感覚値ではなく、JIS(日本産業規格)L 1092「繊維製品の防水性試験方法」に基づいて測られます。
公益財団法人日本繊維検査協会の解説によると、試験片に水圧をかけていき、3か所から水が漏れた時点の水位をmm単位で記録する方法です(出典: 日本繊維検査協会「耐水性(JIS L 1092 A法(低水圧))」)。
では、初心者はいくつを目安にすればいいのか。
スキーウェアメーカーONYONEの公式解説では、小雨なら300〜500mm、普通の雨なら10,000mmあれば充分とされています(出典: ONYONE「耐水圧」)。
ちなみに傘の耐水圧は、日本繊維検査協会が250mm、ONYONEが500mmと出典によって幅があります。おおむね250〜500mm程度、と覚えておけば十分です。
ここで注目してほしいのが、ONYONEのページにあるもう一つの数字。
濡れた場所へ座ったり膝をついたりすると、生地には約2,000〜11,000mmの圧力がかかるとされています。スノーボードはまさに、雪の上に座り込み、膝をつき、体重をかけ続けるスポーツです。
だからこそ、初心者のジャケットは最低でも10,000mm。パウダーや悪天候の日も滑るなら15,000〜20,000mmあると安心です。
逆に、ノーブランドの格安品で耐水圧の記載がまったくない場合は、「書けない数値」だと思ってほぼ間違いありません。値段に釣られる前に、まず数字を探してください。
なお、ゴアテックス採用モデルだけは例外です(理由は次の「透湿性」で説明します)。
2. 透湿性:汗冷えを防ぐ、実は同じくらい大事な数字
透湿性(g/24時間)は、生地が内側の汗の水蒸気をどれだけ外へ逃がすかを示す数値です。
スノーボードは「寒いスポーツ」だと思われがちですが、実際に滑ると驚くほど汗をかきます。
その汗が生地の内側にこもると、リフトで停止した瞬間に一気に冷えて体温を奪う——これが汗冷えです。
ゲレンデ用途なら5,000g程度あれば実用十分。10,000g以上あれば、ハイクアップや春の暖かい日でも快適です。
この防水と透湿を高いレベルで両立させたのが、いわゆるゴアテックス(GORE-TEX)です。
W. L. Gore & Associates社の公式サイトでも、高い防風性・透湿性・耐久防水性を備えた素材として説明されています(出典: GORE-TEX 日本公式サイト)。
ここで、ひとつ知っておいてほしいことがあります。ゴアテックス採用モデルは、耐水圧・透湿性のmm値やg値を公表しません。
素材ブランド側が完成品を審査して防水性能を保証する仕組みのため、採用メーカーが個別に数値を出す必要がないからです。
つまり「数値が書いていないゴアテックス製品」は手抜きではなく、前項のルールの唯一の例外だと考えてください。
ただし、ゴアテックスのジャケットは5万円を超えるものがほとんど。初心者の最初の1着に必須かと言われれば、そこまでではありません(理由は後半の「価格帯別の正直評価」で詳しく)。
3. サイズ:普段着と同じか、ワンサイズ上まで
ジャケットのサイズは「大きめが基本」とよく言われますが、これは半分正解で半分危険です。
大きめが推奨されるのは、下にミドルレイヤーを重ねるぶんの余裕が必要だから。普段着のアウターと同じサイズか、それよりワンサイズ上までが目安になります。
一方で、大きすぎるジャケットには実害があります。
- 余った袖や裾がリフトやビンディングに引っかかる危険がある
- 裾が広がりすぎると、転倒時にお腹側から雪が入る
- 生地が体から離れすぎて、暖かい空気の層が保てず逆に寒い
試着ができるなら、腕を頭上に上げて裾が上がりすぎないか確認してください。
あわせて、前かがみになって突っ張らないかも見ておく。この2つで大半のサイズミスは防げます。
4. ディテール:初心者ほど「首・手首・裾」を見る
スペック表には出にくいのに、実際の快適さを大きく左右するのがディテールです。
初心者が確認すべきは次の4点。
- パウダーガード(スノースカート): 裾の内側にある雪よけ。転倒の多い初心者には必須級
- 手首のインナーカフ: 袖口の内側にある伸縮素材の筒。ここがあると手首から雪が入らない
- ヘルメット対応フード: ヘルメットを被ったままフードが閉じられるか。安全装備を使う前提なら重要
- ベンチレーション(脇のファスナー): 暑くなったとき開けて熱を逃がせる。春以降の必須機能
特にインナーカフとパウダーガード。この2つが付いているかどうかで、転んだあとの不快さがまるで違います。
白状すると、初めて買ったジャケットにはどちらも付いていませんでした。
転ぶたびに袖から雪が入り、その雪が体温で溶けて袖の中でびしょびしょになる。あのときの気持ち悪さは、25年経った今でも鮮明に思い出せます。
5. 中綿ありか、シェルか:初心者は「中綿薄め」が正解
ジャケットは大きく2種類に分かれます。
- インサレーション(中綿入り): 保温材が最初から入っているタイプ。1枚で完結しやすく初心者向け
- シェル(中綿なし): 防水・透湿の殻だけ。中に着るもので温度調整する上級者向け
初心者に薦めたいのは「中綿が薄めに入ったタイプ」です。
中綿がまったくないと最初の1着としては寒く感じやすく、逆に分厚すぎると暖かい日にオーバーヒートして汗冷えするから。薄めの中綿+下のミドルレイヤーで調整するのが、いちばんつぶしが効きます。
なお、商品名で見分けられることも多いです。BURTONなら「Insulated」と付けばインサレーション(中綿)入り、付かなければシェル、と判断できます。
スノボジャケットおすすめ3選【初心者〜長く使いたい人まで】
選び方の5軸を踏まえて、最初の1着に選びやすい3本を挙げます。
予算最優先・定番のバランス型・本格ゴアテックスという3方向から選びました。まずは一覧で違いをつかんでください。
→ 表は横にスライドできます
| PONTAPES POJ-383 マウンテンジャケット | BURTON Covert 2.0 2L Insulated Jacket | VOLCOM L GORE-TEX Jacket | |
|---|---|---|---|
| 商品写真 | |||
| ブランド | PONTAPES(ポンタペス) | BURTON(バートン) | VOLCOM(ボルコム) |
| 特徴 | 1万円切りで耐水圧20,000mm | 定番の安心感とサイズ展開 | 最高峰の防水透湿と質感 |
| 耐水圧の目安 | 20,000mm | 10,000mm | GORE-TEX(非公表) |
| 透湿性の目安 | 非公表 | 5,000g | GORE-TEX(非公表) |
| 中綿 | あり(薄手) | あり(薄手) | なし(2層シェル) |
| 初心者おすすめ度 | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★☆☆ |
| 価格帯 | 1万円以下 | 3〜4万円 | 6〜8万円 |
| 選ぶポイント | 予算を最優先したい | 迷ったらこれ(本命) | 重ね着で自分で調整したい |
| 詳細を見る ▼ | 詳細を見る ▼ | 詳細を見る ▼ |
1. PONTAPES POJ-383 マウンテンジャケット(コスパ最優先)
「続けるかどうかまだわからない」——この段階の人に、いちばん現実的な選択肢がこれです。
PONTAPES(ポンタペス)は、スノーとマリンを中心に展開する日本のブランド。このマウンテンジャケット単品(POJ-383)は税込9,990円と、1万円を切る価格です。
それでいて耐水圧は20,000mmと公表され、この記事の合格ライン(10,000mm以上)を大きく超えています。
中綿入りなので、初日から下に着込みすぎなくても暖かく過ごせます。
周囲でも、1年目はPONTAPESで様子を見て、続きそうなら翌シーズンにブランド物へ——という初心者がここ数年で増えました。
最初の1シーズンを「気兼ねなく転べる装備」で過ごせるのは、上達の面でも意外と大きいです。
ただし、おすすめ度を★4にとどめた理由もあります。透湿性の数値が公表されていないため、汗の抜けやすさだけは数字で確認できません。
デメリット・向かない人: 生地の質感やシルエットは、やはり価格なりです。人気ゲレンデでは色かぶりも起きやすく、見た目にこだわりたい人や年10回以上滑るヘビーユーザーには耐久面で物足りなくなります。
2. BURTON Covert 2.0 2L Insulated Jacket(定番のバランス型)
「安すぎるのは不安、でも8万円は出せない」という、いちばん人数の多い層に刺さるのがこれです。3本のなかで唯一★5を付けた本命でもあります。
理由はシンプルで、耐水圧10,000mm・透湿性5,000gという合格ラインぴったりの数値をメーカーが公表しているから。この記事で挙げた基準を、買う前に自分で確認できる唯一の1本です。
生地はDRYRIDE Durashellの2レイヤー。名前に「Insulated」と付くとおり薄手の中綿が入っていて、下に1枚足せば厳冬期も戦えます。
着脱式のウエストゲイター(パウダーガード)、メッシュ裏地のピットジップ、フリース裏地のハンドポケットと、初心者が欲しいディテールがひととおり揃っているのも強み。
ブランドとしてのサイズ展開の素直さと、日本国内での流通量の多さは、初心者にとって地味に効くメリットです。
試着できる店舗が多く、シーズン終盤には型落ちが値下がりする。「実物を見て買いたい」「安く買えるチャンスがある」という2点で、初めての1着として非常に扱いやすい1本です。
デメリット・向かない人: 定番ゆえにゲレンデでよく見かけます。人と被りたくない人にはつらいかもしれません。
また中綿は薄めなので、真冬の極寒日に1枚で乗り切ろうとすると寒く感じます。下に1枚足す前提で選んでください。
3. VOLCOM L GORE-TEX Jacket(本格志向・重ね着前提)
「どうせ買うなら最初から良いものを」「悪天候でも快適に滑りたい」という人向けの選択肢です。
VOLCOMのLシリーズは、リサイクル素材のGORE-TEX 2レイヤーを使った非インサレーション(シェル)モデル。中綿は入っていません。
その代わり、シームテープ全周貼り・ストレッチパウダースカート・メッシュ裏のベンチレーション・ジャケットとパンツを連結できるZip Techなど、装備は本格的です。
比較表の耐水圧・透湿性が「非公表」になっているのを見て、不安に思った方もいるかもしれません。
これは前半で触れたとおり、ゴアテックスは素材ブランド側が完成品の防水性能を保証する仕組みのため、採用メーカーが各社ともmm値・g値を公表しないためです。数値がないから性能が低い、という話ではありません。
実際、吹雪でも湿った春雪でも生地の性能に不安を感じる場面がほぼなく、ストリート由来のゆったりしたシルエットも人気。機能と見た目の両方を取りにいけるジャケットです。
ただ、弱点も隠さず書いておきます。中綿がないぶん下に何を着るかで暖かさが決まるため、初心者の1着目としては明らかに扱いが難しい。
それでも挙げたのは、「年に10回以上滑るつもり」「気温に合わせて自分で重ね着を組みたい」という人にとっては、結果的にいちばん長く使えるからです。
デメリット・向かない人: 価格が6〜8万円と高いうえ、シェルなのでこれ1枚では寒い。ミドルレイヤーを別途用意する前提の製品です。
「まず1シーズン試したい」「重ね着を考えるのが面倒」という段階の人は、素直にPONTAPES POJ-383から始めてください。
ジャケットの下に何を着る?上半身3層の組み立て方
ジャケットが決まったら、次はその下です。
冒頭でも触れたとおり、高機能なジャケットほど中綿は薄く、暖かさは下の層が担当します。ここを外すと、どんなに高いジャケットを買っても寒いままです。
ベースレイヤー(肌に直接着る1枚):綿だけは絶対に避ける
いちばん重要なのが、肌に直接触れるこの1枚です。
ルールはたった一つ、綿(コットン)を着ないこと。綿は汗を吸ったまま乾かず、その水分が体温を奪い続けます。
ヒートテックのような一般的な吸湿発熱インナーも、実はスノーボードには向きません。汗をかき続ける運動中は吸った水分を保持してしまい、休憩時に一気に冷えるからです。
選ぶべきはポリエステルやメリノウールなどの速乾素材。汗を素早く外側へ送り出し、肌をドライに保つタイプです。
ミドルレイヤー(保温の主役):薄手フリースが万能
ベースレイヤーとジャケットの間に着るのが、保温を担当するミドルレイヤーです。
初心者に扱いやすいのは薄手のフリース。空気の層をつくって暖め、汗も比較的抜けやすく、暑ければ脱いでロッカーに置ける柔軟さがあります。
厚手のダウンは暖かい反面、動きにくく汗をかきやすいのでゲレンデでは扱いが難しい。真冬の極寒日だけの切り札にしておくのが無難です。
アンダーアーマー コールドギア アーマー モック(ベースレイヤーの定番)
ベースレイヤーで名前が挙がりやすいのが、アンダーアーマーのコールドギアラインです。
体にフィットするコンプレッション構造で、内側は起毛で暖かく、外側は速乾という二重構造。汗を素早く逃がしながら保温するという、スノーボードに必要な条件をそのまま満たしています。
特にモックネック(襟が高いタイプ)は、首元からの冷気の侵入を防げるのが大きい。ネックウォーマーを忘れた日でも、これ1枚でだいぶ助かります。
スポーツ用品店で試着しやすく、ランニングや冬の自転車通勤にも使い回せるので無駄になりにくい買い物です。
デメリット・向かない人: 締めつけ感が強く、圧迫されるのが苦手な人には不向きです。
またあくまで「動いている前提」の設計なので、リフト待ちが長いゲレンデではこれ1枚では寒く、ミドルレイヤーの併用が前提になります。
おたふく手袋 BTパワーストレッチ ハイネックシャツ JW-170(コスパの裏技)
ここからは、スノーボード専門店ではあまり教えてもらえない裏技です。
おたふく手袋のBTパワーストレッチは、本来建設現場向けの防寒インナー。真冬の屋外で長時間動く作業者のために作られています。
ところが、この「寒い屋外で動き続ける人向け」という設計思想が、スノーボードの要求とほぼ一致します。裏起毛で暖かく、吸汗速乾で汗冷えしにくい。
それでいて実売2,000円前後という価格です。初めてこの価格でこの性能を知ったときは、拍子抜けしました。
ワークマンや作業用品店で実物を触れるので、一度手に取ってみてほしい1枚。「上下ウェアで予算を使い切ってインナーまで手が回らない」という人の、最後の砦になります。
デメリット・向かない人: デザインは完全に作業着で、ゲレンデでウェアを脱いだときの見た目は期待できません。
カフェで一枚になるシーンが多い人や、見た目を重視したい人はアンダーアーマー系を選んでください。
初心者が上半身でやらかす3大失敗と、逆引き対策
ここからは、上位のどの解説記事にも載っていない実体験ベースの話です。
25年のあいだに数えきれないほど友人を雪山へ連れて行きましたが、初心者が上半身でやらかす失敗は、驚くほどこの3つに集約されます。
失敗1.「寒すぎて震えが止まらない」→ 首・手首・裾の3つの穴をふさぐ
ジャケットはちゃんとしているのに震えている人は、ほぼ例外なくすき間が開いています。
体温が逃げるのは生地を通してではなく、首・手首・裾という3つの開口部から。ここに冷気が入り、暖まった空気が出ていきます。
対策は単純です。ネックウォーマーを1枚、袖はインナーカフかグローブの中に入れる、裾はパウダーガードを必ず留める。
この3つをやるだけで、ジャケットを買い替えたのと同じくらい体感が変わります。
失敗2.「暑くて汗だく、休憩したら凍える」→ 脱げる層で調整する
意外と多いのがこちら。「寒いに違いない」と着込みすぎて、滑り始めて15分で汗だくになるパターンです。
そして汗をかいたままリフトに乗り、風に吹かれて一気に体温を奪われる。震えの正体が「寒さ」ではなく「汗」だったというケースは本当に多い。
対策は、ミドルレイヤーを「脱げる前提」で選ぶこと。厚いインナーを1枚着るより、薄いものを2枚重ねて調整するほうが確実です。
ベンチレーション付きのジャケットなら、滑走中に脇を開けるだけでも違います。
失敗3.「転ぶたびに雪が入って気持ち悪い」→ ディテールとサイズで解決
初心者は上級者の何倍も転びます。そして転ぶたびに、袖口・腰・首元から雪が侵入してくる。
この雪が体温でじわじわ溶けて、午後には内側から濡れていく。耐水圧の高いジャケットを買ったのに濡れる人は、たいてい生地ではなく開口部から浸水しています。
対策は前述のインナーカフ・パウダーガード付きを選ぶこと。そしてサイズを大きくしすぎないことです。
ジャケットの裾がパンツと十分に重なる丈かどうかも、購入前に確認しておくと安心です。
予算・エリア・レンタル:残りの迷いに答えます
エリア・時期で変わる上半身の組み立て方
同じ「スノーボードの服装」でも、行くゲレンデと時期で最適解はかなり変わります。
ホームである岐阜・滋賀・長野と、遠征先の白馬・かぐら・札幌では、上半身の組み立て方がまるで別物です。
- 岐阜・滋賀の日帰りゲレンデ(12〜2月): 標高が低めで雪は湿りがち。気温はそこまで下がらないので、厚着より「濡れ対策」優先。耐水圧10,000mm+薄手ミドルで十分足ります。
- 長野・白馬・かぐらの厳冬期(1〜2月): 気温が明確に下がり、風も強い。ベースレイヤー+フリース+中綿ジャケットの3層をフル装備にする場面です。
- 札幌など北海道遠征(1〜2月): サラサラの雪で濡れにくい代わりに、寒さの質が違います。防水より防風と保温。首元の処理とミドルレイヤーの厚みで勝負が決まります。
- 3月以降の春雪(全エリア共通): 日中は驚くほど暖かく、雪はシャバシャバ。透湿性とベンチレーションが主役になり、ミドルレイヤーは省略してもいいくらいです。
「1着で全部こなしたい」なら、耐水圧10,000〜15,000mm・中綿薄め・ベンチレーション付きを選んでおくのが最も応用が利きます。
あとは下の層で足し引きすればいい。いろいろ試したうえでの結論です。
価格帯別の正直評価:1万・3万・5万円で何が変わる?
「結局いくら出せばいいの?」という疑問に、忖度なしでお答えします。
| 価格帯 | 手に入るもの | 向いている人 |
|---|---|---|
| 〜2万円 | 耐水圧10,000mm前後・薄い中綿・基本的なポケット類。パウダーガードは付いたり付かなかったり | 年1〜3回・続けるか未定の1年目 |
| 3〜4万円 | 耐水圧10,000〜15,000mm・インナーカフ・ベンチレーション・シルエットの良さ・数年もつ縫製 | 年3〜10回・数シーズン使う前提 |
| 5万円〜 | GORE-TEX等の高機能素材・軽さとしなやかさ・防水ジッパー(多くはシェルで中綿なし) | 年10回以上・重ね着を自分で組める |
ここで、身も蓋もないことを書いておきます。
1.5万円と3万円の差ははっきり体感できますが、3万円と6万円の差は、初心者にはまず体感できません。上がるのは「快適さの上限」であって、「暖かさ」ではないからです。
ゴアテックスの真価が出るのは、吹雪の中を半日滑り続けるような場面。年に数回のゲレンデでリフトとレストハウスを往復する滑り方では、その差はほとんど表に出てきません。
だから初心者には、「1万円台で始めて、続けると決めた2シーズン目に3万円台へ買い替える」という進み方をよく薦めています。
1年目に浮いた予算は、リフト券とスクール代に回すほうが上達に効きます。
上だけレンタル?それとも買う?の判断ライン
「そもそも買う必要ある?」という疑問にも触れておきます。
判断はシンプルで、年3回が損益分岐点です。
- 年1〜2回: レンタルで十分。ウェア上下で1日3,000〜5,000円程度が相場です
- 年3回以上: 購入したほうが安く、しかもサイズと機能を自分で選べます
ただし、レンタルウェアには落とし穴があります。サイズが選べないこと、そして何より耐水圧を選べないことです。
何度も洗われたレンタルウェアは撥水が落ちていることが多く、「レンタルで滑ったら濡れて寒かった」という感想の何割かは、実はウェアの性能が原因です。
そしてベースレイヤー(インナー)はレンタルにありません。ここだけは、レンタル派の人でも必ず自分で用意してください。
3,000円のインナー1枚が、その日1日の快適さを決めます。
ウェアの上下をトータルでいくらに収めるか、レンタルと購入をどう組み合わせるかは、スノボウェアの選び方をまとめた記事で全体像を整理しています。
下(パンツ)の選び方はスノボウェアの下(パンツ)の記事をどうぞ。
ウェア以外に何を揃えればいいのか迷っている方は、まずスノーボード初心者に必要なもの一覧(初心者ガイド)から読むと、優先順位ごと整理できます。
よくある質問(FAQ)
A. 続けるか未定の1年目なら1万円台、数シーズン使う前提なら3万円前後が現実的な着地点です。
価格より優先すべきは「耐水圧10,000mm以上・透湿性5,000g以上」を満たしているかどうか。この条件を満たせば1万円台でも初日に凍える失敗は防げます。
A. 綿のパーカーは避けてください。汗を吸ったまま乾かず、休憩時に体温を奪い続けます。
吸湿発熱系のインナーも、汗をかき続ける運動中は水分を保持してしまうため不向きです。ポリエステルやメリノウールなどの速乾素材を選んでください。
A. 初心者はセット買いが無難です。色の相性を考えなくて済み、価格も抑えられます。
バラで選ぶ場合は、パンツを黒などの定番色にして、ジャケットで好きな色を選ぶと失敗しません。上半身のほうが視認されやすく、印象を決めるためです。
A. まったくそんなことはありません。各ブランドの独自防水素材でも、耐水圧10,000mm・透湿性5,000gを満たしていればゲレンデでは十分に機能します。
ゴアテックスが真価を発揮するのは、悪天候で長時間滑り続ける場面です。年に数回のゲレンデ利用なら、その差を体感できる場面はほとんどありません。
A. 多くは洗濯機で洗えますが、必ず洗濯表示を確認してください。柔軟剤は撥水性能を落とすので使わないこと。
表面が水を弾かなくなったら、専用の撥水スプレーをかけて低温で乾燥させると復活します。シーズン終わりに一度洗って撥水処理をしておくと、翌シーズンの性能がまるで違います。
まとめ:上半身は「数値で選んで、下の1枚で仕上げる」
スノボウェアの上(ジャケット)選びは、突き詰めると「耐水圧10,000mm以上・透湿性5,000g以上を選ぶ」。まずこの2つの数字だけ守れば、初日に凍えて後悔する事態は避けられます。
そのうえでサイズは普段着+ワンサイズまで、ディテールはインナーカフとパウダーガードを確認、中綿は薄めを選ぶ。この3つを足していけば、初心者の装備としては十分です。
最初の1着の本命は、数値を公表しているBURTON Covert 2.0。予算を最優先するならPONTAPES POJ-383、重ね着を自分で組んで長く使いたいならVOLCOM L GORE-TEXという並びになります。
そして忘れないでほしいのが、下に着る1枚です。ジャケットに5万円かけるより、3万円のジャケット+3,000円の速乾インナーのほうが、確実に暖かい1日になります。
25年滑ってきて確信しているのは、上半身が冷えていない日は、リフトで上がる時間まで楽しいということ。
震えずに次の1本を待てるかどうかで、その日に滑れる本数は驚くほど変わります。
ジャケットと、その下の1枚。この2つをあなたの滑り方に合わせて選んでみてください。

